電子工学専攻・西澤研究室(量子光エレクトロニクスグループ)は,吸収が発光に反転する新現象を発見しました.
電子工学専攻・西澤研究室では,超短パルス光を分子ガスのセルに透過させた後に光ファイバに導波させることで、分子の細かな吸収スペクトルが大きな線スペクトルのピークに周期的に反転する新しい現象を発見しました。この光源は新しい光周波数コムとして有用で、原理的には紫外~赤外域に渡る広い波長帯で実現が可能です。光スペクトル標準や超高繰り返しなパルス列を出力する高機能な光源として、光計測等の分野への応用が期待されます。
超短パルス光と分子ガスを用いたスペクトル列の生成
電子工学専攻 教員公募
名古屋大学大学院工学研究科電子工学専攻では教授・助教または講師を公募しています。(内容については詳細を参照)
ご応募をお待ちしております。
人事異動
情報・通信工学専攻・無線通信システムグループでは雑音を積極的に利用することでシステムの応答特性を改善する「確率共鳴」について研究しています。
確率共鳴(Stochastic resonance: SR)とは,系の雑音強度の増大に対して系の応答が向上する非線形現象のことです。従来,雑音は工学的には邪魔なものとしてフィルタ処理等を駆使して積極的に取り除かれてきました。しかし,確率共鳴では異なるアプローチをとります。すなわち,雑音を積極的に利用することで,系の応答を改善します。例えば,生態系は雑音を巧く信号処理に活かすことで,雑音に埋もれた微弱な信号であっても感知できるしくみを持っています。このしくみを情報通信に応用することができれば,従来の系では感知できないような微弱な信号を用いた情報通信システムの構築が期待できます。
確率共鳴を利用した受信機
電気工学専攻・大野(哲)研究室では、核融合非接触プラズマ中におけるプラズマパラメータの時空間挙動計測に成功しました。
電気工学専攻・大野(哲)研究室では、磁場閉じ込め核融合発電の実用化のため、高熱流プラズマ-中性ガス-固体壁間の相互作用研究に取り組んでいます。田中宏彦助教らは最近の直線型装置を用いた研究で、固体壁への熱負荷を著しく低減可能な“非接触プラズマ環境”において、従来手法では困難な高時間分解能パラメータ計測を統計的手法を併用することで実現しました。これにより、磁場を横切る突発的プラズマ輸送の発現前後における電子密度・電子温度・プラズマ電位の時空間に渡る変動過程が明らかとなりました。
(a) 装置断面における計測系の模式図、(b) 計測されたパラメータ時空間発展の一例
電気工学専攻・未来材料システム研究所 エネルギーシステム(中部電力)寄附研究部門は、3Dプリンタを用いて、電力・エネルギー機器向けの絶縁体モデルの造形に成功しました。
電気工学専攻・未来材料システム研究所エネルギーシステム(中部電力)寄附研究部門の固体絶縁材料グループは、3Dプリンタを用いて、電力機器向けの絶縁体モデルの造形に成功しました。これは、3Dプリント特有の電気的欠陥を解消する方法の有効性を実証し、独自改良した3Dプリンタを用いて実現されました。本成果は、電力・エネルギー分野におけるデジタル・ファブリケーションの端緒として、電力システムの専門知識を蓄積および共有するための世界的コミュニティ(CIGRE:国際電力システム会議)のオーラル発表に採択され、その内容はCIGRE journalに掲載されます。“3D Printed Solid Insulator: Possibilities and Challenges”, M.Kurimoto, Y.Suzuoki, Y.Uchida, CIGRE2020
人事異動
電気工学専攻・山本研究室(パワーエレクトロニクス研究室)は、JAXA(宇宙航 空研究開発機構)航空技術部門の協力により電動航空機のシステムモデル化(名古屋大学- ECLAIRモデル)に成功しました。
電気工学専攻・山本研究室(パワーエレクトロニクス研究室)は航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアムにおける技術開発グループの研究活動の一環で、JAXA(宇宙航空研究開発機構)航空技術部門 次世代航空イノベーションハブの協力により、JAXAの電動航空機のモデル化(名古屋大学- ECLAIRモデルと呼称)に成功しました。JAXAの電動航空機における電気系システムと機械系システムをモデル化し、それぞれの要素システム各部のモデル、並びに航空機システムに対して、実測データと構築した名古屋大学- ECLAIRモデルとの整合性を確認し、その有効性を明示しました。今後は、この電動航空機用名古屋大学- ECLAIRモデルに、次世代パワー半導体であるGaN(窒化ガリウム)パワー半導体を適用した場合の有効性とシステムインパクトについて、検証を進めていく予定です。
人事異動
情報・通信工学専攻・武田研究室では,人間と機械が調和する知的な情報処理技術を研究しています.
武田研究室では,機械学習や統計的信号処理に立脚して,実世界における人間と環境のインタラクションを対象にした知的な行動信号処理技術を研究しています.特に,自動運転,人間行動理解,音声変換,それらに必要な人間と機械のインタラクション技術の研究に取り組んでいます.例えば最近では,サッカーやバスケットボールなどの集団スポーツにおいて,戦術的な情報や、選手が誰を考慮したかを反映して選手の軌道を予測する技術を開発しました.
図:(左)サッカー,(右)バスケットボールにおける軌道予測
電子工学専攻・堀・石川研究室では、非平衡大気圧プラズマの医療・バイオ応用に関する研究に取り組んでいます。
電子工学専攻 堀・石川研究室では、本学医学部附属病院との共同研究により、非平衡大気圧プラズマの医療応用に関する研究に取り組んでいます。最近の網羅的な遺伝子発現解析研究によって、プラズマ活性溶液が有するがん細胞の選択的殺傷効果の複雑な作用機序が明らかになりました。今後、様々な薬剤耐性を持つがんに対して、各種プラズマ活性溶液を使い分けることにより、個別化医療に基づくがん治療戦略を練ることが可能になると期待されます。
情報・通信工学専攻 長谷川・森研究室では、新たな光ルーティング方式に基づくスループット2.15Pbpsの光ノードプロトタイプの開発に成功しました。
情報・通信工学専攻 長谷川・森研究室(情報通信講座・情報ネットワーク研究グループ)では、超大容量光通信ネットワークの実現に向け、次世代の大規模光ノードをコンパクトに実現するためのアーキテクチャ開発に取り組んでいます。これまで提案してきた中から、フレキシブル波長群ルーティングノードをご紹介します。このノードでは光ファイバ中の多数の波長多重信号(光ファイバあたり〜100波)を柔軟にグループ化し、グループ単位でスイッチングする、新たなルーティングの概念に基づいています。直近では空間ジョイントスイッチングによる複数光ファイバの信号の一括切り替えを実装したプロトタイプを開発し、ノード全体で2.15Pbpsのスループットが得られること、および400Gbps DP-QPSK信号を700km/7ホップ伝送できることを実証しました。この成果は米国ジョージワシントン大・香川大との共著論文として、国際会議ONDM2020にて発表し、最優秀学生論文賞を得ています。
令和3年度大学院入学試験(令和2年実施)専攻紹介・入試案内の動画、研究室紹介パンフレット・研究室見学への連絡方法を掲載
新型コロナウイルスの影響により、3月27日(金)開催予定の入試説明会は中止となりましたが、説明会で説明予定だった専攻紹介・入試案内の動画を掲載いたしました。また、研究室紹介のパンフレットを掲載いたしました。
人事異動
人事異動
令和3年度大学院入学試験(令和2年実施)の説明会中止のお知らせ
新型コロナウイルスの影響により、3月27日(金)開催予定の下記の入試説明会は中止となりました。ご参加を予定されていた皆様にはご迷惑をおかけし申し訳ございません。入試に関する情報は、下記Webページで順次アップデート予定です。
電気系M1中間発表の優秀発表者の表彰
2019年12月4日と11日に開催された電気系M1中間発表の優秀賞受賞者が表彰されました。受賞者とその所属研究室は以下の通りです(順不同、敬称略)。
白井慎也(山本研)、野田和寛(山本研)、服部聖悟(大野哲研)、堀友秀(吉田研)、尾崎敦士(堀研)、川口理絵(川瀬研)、長瀬知輝(五十嵐研)、西尾祐哉(大野雄研)、原田賢太朗(西澤研)、村上峻哉(新津G)、桶間椋(片山山里研)、坂井康平(藤井研)、堀翔太(道木研)、山中幸一郎(藤井研)
以上
令和3年度大学院入学試験(令和2年実施)の説明会開催のお知らせ
電気工学専攻、電子工学専攻、情報・通信工学専攻の前期(修士)課程入試の受験を希望する方を対象に、合同入試説明会を開催します。
情報・通信工学専攻の藤井研究室では,3次元映像の高効率撮影技術を開発しました.
情報・通信工学専攻の藤井研究室では,3次元映像を高効率に撮影する技術を開発しました.この技術を用いることにより,絞り面に特殊なパターンで符号化を施したカメラを用いて撮影したわずか2枚の画像から,計算処理によって3次元映像(多視点画像)を得ることができます.この技術は,深層学習を用いて符号化のパターンと計算機処理アルゴリズムを同時に最適化することで実現されています.
3次元映像の撮影から計算機処理までをモデル化したニューラルネットワーク
電子工学専攻・豊田研究室では大面積高速処理用大気圧プラズマの生成に成功しました。
電子工学専攻 豊田研究室ではマイクロ波電力伝送方法を制御することで、大面積表面を高速で処理できるメートル級長尺大気圧マイクロ波プラズマの生成に成功しました。メートルサイズの長尺プラズマにより樹脂等のエッチングを高速でおこなうことができます。
メートル長尺大気圧マイクロ波プラズマ源
電気工学専攻・福塚研究室(電気エネルギー貯蔵工学研究グループ)では次世代型蓄電池として期待される全固体リチウム二次電池の基礎研究に取り組んでいます。
電気自動車の本格的実用化にはリチウムイオン電池を超える革新型蓄電池の研究開発が必要不可欠です。当研究室ではNEDOの先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期)に参画し、革新型蓄電池として全固体リチウム二次電池に関する研究を進めています。特に硫化物系無機固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の黒鉛負極に関する研究を進めています。
新津研究グループでは、医療・ヘルスケアに貢献するIoT・AIを実現する集積回路システムの研究開発を行っています。
新津研究グループでは、医療・ヘルスケアに貢献するIoT・AIを実現する集積回路システムの研究開発を行っています。これまでに、世界最小クラスの発電・センシング一体型血糖センサー(発電とセンシングを同時に行うセンサー技術)を新たに開発しました。これにより、外部からの無線給電等が不要なコンタクトレンズ方式による持続型血糖モニタリングが実現可能となりました。また、測定した血糖値データのみによって30分後の血糖値を予測する人工知能を用いたシステムを新たに開発しました。これにより、糖分やインスリン摂取量の手動入力を排除した血糖値の予測が可能になりました。
電子工学専攻・五十嵐・長尾研究室(ナノ電子物性研究グループ)は、新機能素子の実現が期待される“磁気渦粒子”磁気スキルミオンで、新たな構造を実現しました。
これまで、磁気スキルミオンと呼ばれる磁気渦粒子の配列は、固体中の原子配列と同様の状態が観測されてきました。今回、五十嵐・長尾研究室では、固体と液体の中間状態である液晶に類似した“スキルミオン液晶”の実現に成功しました。今回の“スキルミオン液晶”の実現は、新しい動作原理を持つ省エネルギーの次世代スピンデバイスの開発につながることが期待されます。なお、本研究成果は、学部四年生の卒業研究の成果であり、アメリカ物理学会が発行する国際学術誌に掲載されます。このことは、電気系教室の教育研究が、学生の発想および行動力と相乗効果をもって発展していることを示しています。
人事異動
情報・通信工学専攻・岩田(哲)研究グループでは,情報セキュリティ・暗号理論の研究に取り組んでいます.
岩田(哲)研究グループはNEC等とともに,ISO/IEC国際標準の認証暗号OCB2に深刻な脆弱性があることを明らかにしました.本研究成果をうけて,ISO/IECはOCB2を国際標準から取り下げることをアナウンスしました.上記脆弱性を指摘するとともに,この問題点を修正する手法を提案した論文は国際会議CRYPTO 2019においてBest Paper awardを受賞しました.本研究で得られた知見は今後,より安全で効率的な認証暗号の設計に役立てられます.
平文回復攻撃(暗号文を解読し,もとのデータを復元する攻撃)の概要
低温プラズマ科学研究センターの開設記念式典・記念講演会と施設見学会が行われました。
令和元年7月23日に、低温プラズマ科学研究センターの開設記念式典・記念講演会と施設見学会が行われました。参加者は大学や企業の研究者など550名に上り、報道機関などから多くの取材を受けました。
電子工学専攻・五十嵐・長尾研究室(ナノ電子物性研究グループ)では、(株)豊田中央研究所との共同研究で、窒化ガリウム(GaN)のナノスケール結晶欠陥がデバイス特性に与える影響を明らかにしました。
p型GaNの自由電荷密度の上限を決める要因が、結晶中の不純物(Mg)の偏析にあることを明らかにしました。2000年代初頭以来議論が続いてきた、ナノスケール結晶欠陥の構造解明を実現し、この欠陥の形成が自由電荷密度の上限に影響を与えるメカニズムを明らかにしました。この結果は、論文誌に掲載され、Spotlight article(注目記事)に選定されています(Applied Physics Express 12, 031004(2019))。
本研究は文科省「省エネルギー社会実現に資する次世代半導体研究開発」の委託を受けて行われた。
Mgが偏析した結晶欠陥の電子顕微鏡写真。明るい点がGa原子の観察像。上下のGaN結晶に挟まれた暗い原子層にMgが偏析。挿図はシミュレーション像。
電気工学専攻・パワーエレクトロニクス研究室では豊田合成との共同研究で縦型GaNパワー半導体であるGaN MOS-FETを用いて19MHzのスイッチング動作を実現しました。
電気工学専攻・山本研究室(パワーエレクトロニクス研究室)では豊田合成との共同研究により、世界で初めて縦型GaNパワー半導体であるGaN MOS-FETを用いた19MHzのパワー回路におけるスイッチング動作を実現しました。GaNと同じ様な化合物半導体であるSiCを使ったパワー半導体と比較しても2倍の高周波性能を持つことが分かりました。この成果により、電気自動車や携帯、パーソナルコンピュータへのワイヤレス給電における電力伝送距離を10倍以上に拡大することを可能とするものです。
電気学会論文誌(2019年2月号)の特集論文「省エネ社会を支える高効率小型電源技術―高周波電源コンポーネンツの最前線―」における「総論:GaNパワー半導体応用ロードマップ」(pp. 76-79)にその内容が掲載されています。
左図:パワー回路に実装したGaN MOS-FET、右図:GaN/SiC MOS-FETのスイッチング特性比較
塩川和夫教授(電気工学専攻)がSCOSTEP会長に選出されました。
7月13日(土)にカナダのモントリオールで開催された国際学術組織であるSCOSTEP(Scientific Committee on Solar-Terrestrial Physics、太陽地球系物理学科学委員会)の総会で、電気工学専攻の塩川和夫教授が、各国代表者による投票により会長に選出されました。任期は2019年7月からの4年です。SCOSTEPはISC(International Science Council, 国際学術会議)傘下の組織の一つで、太陽地球系科学に関する5か年国際共同プログラムを立案・推進しています。またSCOSTEPは国連宇宙平和利用委員会の恒久オブザーバーです。SCOSTEPの会長職を日本人が務めるのは初めてになります。
就任あいさつでの塩川教授
人事異動
情報・通信工学専攻・武田研究室では、信号処理理論に立脚して人間をとりまくさまざまな環境とのインタラクション技術を研究しています。
武田研究室では,信号処理理論,機械学習理論などの基礎理論を発展させつつ,音声認識,行動理解,自動運転,インタラクション,スポーツ科学といった幅広い応用システムの高度化に取り組んでいます.研究室での研究成果を融合し,音声や身振り目線等により自動運転車を操作できるマルチモーダル対話型自動運転車を実現しました.
電子工学専攻・岩田(聡)研究室では高密度メモリ,高機能センサの研究を進めています.
電子工学専攻・岩田(聡)研究室では磁気ランダムアクセスメモリの高密度化のため,スピン流,電界,熱など様々な高効率磁化反転手法を検討しています.また,巨大磁気抵抗効果などを利用した高機能磁気センサデバイスの開発や超高密度磁気ストレージのための微細加工磁性体の作成にも取り組んでいます. この研究はあらゆるものがインターネットに接続されるSociety5.0を支える基盤技術となります.
電気工学専攻・三好研究室(宇宙地球環境研究所)では、科学衛星のデータ解析とコンピューターシミュレーションを通して、宇宙空間プラズマの研究を進めています。
電気工学専攻・三好研究室(宇宙情報処理グループ)では、JAXAが打ち上げた科学衛星「あらせ」や「ひので」衛星のデータ解析を進め、太陽面爆発やオーロラ、高エネルギー電子加速といった太陽や地球周辺の宇宙空間で起こるプラズマ現象の研究を進めています。また、スーパーコンピュータを用いて宇宙空間プラズマ現象のシミュレーション研究も行っています。
写真 (a) ジオスペースを探査する「あらせ」衛星 (© ERGサイエンスチーム)、(b) 太陽を観測する「ひので」衛星 (© ISAS/JAXA) 、(c)宇宙地球環境研究所の統合データサイエンスセンター(CIDAS)スーパーコンピュータシステム
研究分野