名古屋大学大学院 工学研究科 電子工学専攻 未来エレクトロニクス創造講座 プラズマエレクトロニクスグループ
豊田研究室
当研究室ではプラズマプロセス技術の開発と向上を進める研究を行なっています
■ 研究概要
a. 新プラズマ源の開発 b. プラズマ診断・制御 c. 材料処理プロセス
c. プラズマを用いる材料処理プロセス
高精度制御スパッタプラズマ装置の開発と平坦膜形成
研究背景透明導電膜はフラットパネルディスプレイやタッチパネルの透明電極フィルムとして用いられており、その材料としてはITOをはじめとする酸化物材料が用いられます。 透明導電膜の要求事項として、ディスプレイの大型化や高精細化、多層膜の電極間の短絡故障の予防のために、抵抗率の低減や凹凸の低減が求められています。


そういった薄膜製法の主力として利用されるのがマグネトロンスパッタリングですが、酸化物を用いたスパッタをする際には、高エネルギー酸素負イオンによる膜質の劣化が問題点として挙げられます。 スパッタに乗じてターゲット表面で発生した酸素負イオンは、ターゲット前面の高電圧によって加速され、基板に堆積した膜表面へ衝突しダメージを与えると考えられます。 そのため、高品質な製膜を行うには、低電圧放電によって負イオンエネルギーを低減させることが重要であると考えられます。 近年のマグネトロンスパッタリングではターゲット付近に蓄積する正イオンによるアーク放電を抑えることを目的として、パルス放電が主に用いられています。 しかしパルスにかかる高負バイアスによって高エネルギー化した酸素負イオンが放出され、膜質に影響を与えることが考えられます。
目的と概要本研究では高平坦ITO薄膜の作製を目指し、パルスの電圧を低減する手法としてVHFを重畳する手法を用いました。
高周波電力を加えることで、直流放電との放電メカニズムの違いから負バイアスを抑制することが可能です。
以前からRFの高周波電力をDC放電に重畳することで負バイアスを抑制できることが報告されていますが、
RF帯よりさらに高周波帯であるVHF帯を重畳することで、より低い自己バイアス電圧、高密度なプラズマの生成が可能となります。
これによりさらなる低ダメージスパッタリングの実現が期待できます。
樹脂系フィルムの表面改質およびバリア膜の形成
研究背景樹脂(高分子)材料はフレキシビリティ、軽さ、低コストであるといった特徴を有することから近年需要が非常に増加しており、
電子機器から自動車、医療に至るまで、その応用分野は急速に拡大しています。
これらのエレクトロニクス製品の製造プロセスにはプラズマを用いた表面処理技術が多く取り入れられ、
材料表面のクリーニングや改質、薄膜形成といった処理に用いられております。
近年では需要の増加に伴い、生産性を向上させ大量生産に伴う低コスト化を図るため、プロセスの大面積化が進んでおります。
そこで、大面積かつ高速・均一処理が可能なプラズマ源が求められています。
目的と概要本研究では、大面積かつ高速・均一処理を目指し、プラズマ源の開発と処理についての研究を進めています。 現在は大気圧長尺ラインプラズマを用いたフィルム材料の表面親水化処理や、マイクロ波スロットアンテナプラズマを用いた高速プラズマCVDに関する調査をおこなっています。
液中プラズマの新規材料創成への応用
研究背景液中プラズマは水由来の高い反応性粒子の生成があり、液体材料を利用することが可能です。
また、反応場が液中であることから材料の供給の密度が高く、低温でのプロセスとなるため、効率的に材料を合成できることが期待されます。
目的と概要本研究では液中プラズマを用いた機能性新材料創成を目指しています。