■ 研究概要

a. 新プラズマ源の開発  b. プラズマ診断・制御  c. 材料処理プロセス 

b. プラズマの診断・制御

マグネトロンプラズマ中の高エネルギー粒子計測

研究背景透明導電膜は電気を通し可視光を透過するガラスであり、スマートフォンをはじめとする電子デバイスのディスプレイ、太陽電池、機能性ガラス等に用いられています。 透明導電膜はガラス基板やPETフィルム等に酸化物材料(In2O3等)を堆積させることで作成されます。 酸化物材料を基板に堆積させる際に用いる成膜手法の一つにマグネトロンプラズマ(磁界を利用した高密度なプラズマ)を用いたスパッタリングが挙げられます。 原理としては高負電圧を印加した材料にプラズマ内の正イオンが高速で入射することで、材料原子をたたき出し基板に堆積させる手法です。

 

この手法は大面積基板への成膜が可能であり、様々な材料の成膜に用いることが可能であるという利点から透明導電膜のみならず工業的に様々な薄膜堆積に利用されています。 しかし、プラズマを用いたスパッタリングではスパッタ時に材料に印加する高負電圧により高エネルギー粒子が発生し、堆積した薄膜にダメージを与えると言われています。

目的と概要本研究では高エネルギー粒子を抑制し高品質な透明導電膜の成膜指針を得ることを目的として以下のような調査をおこなっています。

  • エネルギー分析機能付四重極質量分析器(QMA)を用いた高エネルギー粒子計測
  • 電源構成に工夫した高エネルギー粒子抑制手法研究、成膜基板評価

液体・プラズマ相互作用における基礎過程の解明

研究背景近年、液体を介在させた大気圧プラズマに注目が集まっております。 大気圧プラズマの特徴に加え、OHラジカルをはじめとする水由来の高い反応性粒子の生成があり、液体材料を利用することが可能です。 これらの特徴を活かした材料の加工や合成、生体への応用、物質分解や処理への利用が期待されています。 このような液体に接触するプラズマ技術の多くはプラズマと液体の界面反応を利用し、溶液中の水や水和イオンを対象としたプロセスとなっており 液体接触プラズマプロセス技術の向上、プラズマの安定的な生成と制御のためには、 液体界面における、原子の気相放出過程をはじめとした物理・化学的反応過程やイオン挙動の理解は重要であると考えられます。 しかし、このようなプラズマは、プラズマの生成・反応場が複雑で計測手法が限定的であるため、 このような基礎過程に着目した報告例はあまり多くありませんでした。

目的と概要本研究ではプラズマと液体の界面における反応過程を明らかにすことを目指し、 非接触計測である発光分光や吸収分光などの光学的手法を用いて、プラズマ中の活性種の時空間変化について調査をおこなっています。