大実験
  • 複数テーマの内,選択した1テーマを秋学期を通して実施(全テーマ数は年度によって変更の可能性が有り).
  • 最新の大実験テーマについては,学生実験のTACTや電気系の掲示板を確認してください.
  • 2026年度に実施予定の大実験テーマと概要は以下の通り(2026年9月28日時点).
  • 番号 テーマ名 実施研究室 テーマ概要
    【電気系テーマ】
    EH2 機械学習・最適化処理を用いた電力系統技術の構築
    (EH25と共同実施)
    横水研 再生可能エネルギー発電の系統連系増加に伴い、直流電力系統が増加しています。一般的に、直流系統内で発生する電気的な事故は、検知が難しく、大規模な火災事故などに繋がることが多いため、「事故が発生しそう」や「事故が起こりかけている」を即座に察知することが重要になります。本テーマでは、電力潮流に対して周波数スペクトル解析と機械学習処理を用いることで、直流電力系統で発生した系統故障を即座に検出する技術を開発します。
    EH25 機械学習・最適化処理を用いた電力系統技術の構築
    (EH2と共同実施)
    加藤(丈)研 電力の需給運用において、気象条件によって出力が大きく変動する再生可能エネルギー発電の導入が進むに従い、 その出力変動へ対応するための調整力を効率的に確保する重要性が高まる。本実験では、電力システムを俯瞰し、 再生可能エネルギーが大量に導入された将来の電力システムを対象として、簡易の需給シミュレータを作成する。
    EH4 高温超伝導体を用いた電力系統保護回路の構築
    (EH24と共同実施)
    早川・岩田研 高温超伝導体は、従来の超伝導体より臨界温度が高く液体窒素冷却による安価な運用が可能であるため電力応用が期待されている。 その一つとして、電力系統故障時の過電流を抑制する機能を持つ超伝導限流器への応用が考えられている。 本テーマでは、超伝導限流器を対象に、臨界電流前後の電圧発生特性に着目して、応用を意識した実験を行う。
    EH24 積層高温超伝導線材を用いた磁気浮上実験と新しい磁気デバイスの開発
    (EH4と共同実施)
    吉田研 永久磁石よりも大きな磁場を比較的安価かつ小型装置で発生させることができれば、新しい磁場応用(医療、製造、モーター等)を切り拓くことができる。 高温超伝導体の磁気的性質を利用した超伝導磁石や磁気レンズが期待されている。YBa2Cu3O7線材は臨界電流密度特性が高く、 高性能を有する超伝導磁石や磁気レンズの開発が期待される。 本実験では市販YBa2Cu3O7線材を用いて、超伝導の特異な磁気現象を理解・制御することを目指す。
    EH5 エネルギーハーベスティング回路の構築 栗本G エネルギーハーベスティングとは、環境中に存在する微小エネルギー(振動・電磁波・温度差など)を電気エネルギーに変換する技術で、環境発電とも呼ばれる。 この実験では、エネルギーハーベスティングの具体例として振動発電および熱電変換の文献を調査するとともに、 誘電エラストマーを用いた伸縮性コンデンサを実際に作成し、これを用いた発電回路を構築する。 グループ間で発電性能が上がるように工夫し、発電性能を競い合う。
    EH6 降圧チョッパの製作とNゲージ模型鉄道の速度制御 山本研 パワーエレクトロニクスとは,パワー半導体デバイス・受動素子を用いて電気回路を構成し電気エネルギーを効率よく変換する技術である。パワーエレクトロニクスは電力インフラや再生可能エネルギーはもちろんのこと、CO2排出抑制可能な移動体の「電動化」には欠かすことができない技術分野である。本実験では移動体の「電動化」を経験すべくパワーコンバータを試作し N ゲージ模型鉄道に搭載されたモータのスピードをコントロールする実験を実施する。
    EH22 宇宙電磁環境の計測とデータ解析 塩川・大塚研・三好研 宇宙電磁環境を計測するため、GPSなど測位衛星からの電波を受信するGNSS受信機およびそのセンサーを使用する。人工衛星電波を受信するGNSSセンサーから受信データを取り出し、その時系列を記録する装置を組み上げ、地球の電離圏における全電子数を計測する。 得られたデータについて、Pythonによるプログラム開発を通して相関解析など時系列の解析を行い、公開されている世界の電離圏全電子数の観測データと比較し、得られたデータの変動原因を考察する。
    【電子系テーマ】
    EH1 超伝導デバイス 田中(雅)研 光子検出器は,量子暗号や量子情報通信,量子光学,生命科学など幅広い分野で鍵を握るデバイスである。実験では,高感度,低雑音,高時間分解能を特徴とする超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)の素子作製を行い,機械式冷凍機へ実装して特性評価を行うことで、超伝導/光デバイスに関する物理や技術、評価手法等を学ぶ。検出原理や作製プロセスを理解し,光学シミュレーションなどを頼りに性能向上に取り組む。
    EH9 真空プラズマの生成と応用
    (EH10と共同実施)
    内田・鈴木研 半導体デバイス製造によく用いられる「低圧力領域の低温プラズマ」の一つである容量結合型RFプラズマ装置の設計・製作・実験を通して、低圧プラズマの基礎から応用までを理解することを目的とする。具体的には (1)真空の基本的知識、(2) 高周波電力を効率よく利用するためのインピーダンス整合の原理、 (3) プラズマの生成・制御に関する基礎知識、(4) プラズマ計測、及び、 (5) プラズマ応用について、実験を通して学ぶ。
    EH10 大気圧プラズマの生成と応用
    (EH9と共同実施)
    石川・堤研 プラズマの応用範囲は半導体デバイス製造のための微細加工やがん治療,食物の成長促進といった産業や医療,農業分野へと広がっている.本実験では,大気圧プラズマ源および応用プロセスを提案・製作することで,プラズマ源の構造と生成されるプラズマの関係を理解し,プラズマの計測結果に基づく科学的根拠からプラズマ源を最適化する.
    EH11 超短パルスレーザーを用いたバイオイメージング 西澤研 超短パルスレーザーを用いた先端光バイオイメージング技術の一つである光断層計測(OCT: Optical Coherence Tomography )システムの開発に取り組む。 OCTとは、光の干渉性を利用することでサンプル内部の断層構造を μm スケールの高分解能で高感度に計測する光学技術であり、医療診断や工業製品の品質検査といった幅広い分野で利用されている。本実験では、広帯域な波長成分をもつ近赤外光を用いた高分解能 OCT を構築し、開発した OCT の特性評価や、それを用いたイメージングの実験を行う。
    EH12 発光ダイオードの特性評価と応用システムの構築 本田研 LED は、安価で環境にやさしい光源として世の中に広く普及してきた。近年では照明やプロジェクター光源だけでなく、紫外光源としての開発が進み、殺菌などへの応用が注目されてきている。本テーマではLED の特性の基礎評価、評価結果から、LED というデバイスの基本的な特性について理解を進める。そして、LED を用いたオリジナルの照射システム(例:殺菌機、距離計測機)の設計・作製とシステムの性能評価までを体験してもらう。
    EH13 カーボンナノチューブを用いたウエアラブルIoTデバイス 大野(雄)研 様々なものがインターネットでつながるIoT社会の実現にむけて、フレキシブルな電子デバイスは人間の肌に貼り付けて使用する電子皮膚や健康・医療デバイスなどの幅広い応用が期待されています。この実験では、キャリア移動度、透明性、伸縮性や柔軟性など多くの点で優れているカーボンナノチューブを用いて、透明で存在を感じさせずに生体情報をセンシングできるデバイスを作製し、ウエアラブルデバイスの最先端研究を体験します。
    【情報系テーマ】
    EH15 実社会データセンシング・分析・可視化 河口研 スマートフォンやIoTデバイスの普及で都市規模のデータ収集が可能になったことで,それらのデータを分析・活用した,住民や行政にメリットのあるサービスが求められている.本実験では,スマートフォンの発するWi-Fiパケットから人の移動を推定する技術を中心に,データの取得・分析を通じて,課題の解決に挑戦する.
    EH16 人を支援するインタラクティブシステム構築 小川G 本実験では、人を支援するインタラクティブシステムを構築します。これは、人とシステムが対話や音声・画像情報のやり取りを通してある目的の達成を目指すものです(例:映画推薦や面接練習、会話支援システム)。実験ではチームごとにどんなシステムを作るか自由に決め、システム構築に必要な技術調査、設計、開発、評価に取り組みます。妙案を生み出し、作りたいシステムを形にする苦楽を経験しながら、開発・評価手法の習得を目指します。
    EH17 ロボットビジョン 道木研 ロボットに視覚と頭脳を持たせると何ができるだろうか?本実験は、ロボットの視覚に相当するカメラと腕に相当するロボットアームを用い、ロボットの頭脳を自らプログラムすることで、様々なタスクを実行するロボットビジョンシステムを構築する。まず、画像処理(視覚)、物体認識・行動決定(頭脳)、ロボット制御(腕)の基礎知識を習得する。最終的に、自由な発想に基づいたロボットビジョンシステムを完成させる。
    EH18 機械学習を用いた通信システム設計 長谷川研 生成AIやクラウドサービス、動画配信の急速な普及を支える基盤の一つが、一本の光ファイバに数百テラビット毎秒を詰め込む光通信技術である。しかし信号は伝送中に複雑に歪み、その補償には現在も解かれていない問題が残されている。本実験では、この歪みを補償する信号処理アルゴリズムを機械学習によって計算機上に実装し、自由な発想で改良を加える。成果発表会では、研究室の実験装置で取得した実測データに対する補償性能をグループ対抗で競う。
    EH19 イメージベースドモーションコントロール 藤井研 本実験では、カメラを備えるロボットカーの構築、ならびにカメラで獲得した画像から物体を認識する、いわば画像工学的なアプローチでロボットカーをプログラミング制御してもらい、実験の最後に開催するグループ対抗の競技に参加してもらう。学生諸君には、勝利を目指して、ロボットカーの制御方法などに創意工夫を凝らしてもらいたい。
    【複合テーマ】
    EH7 リチウムイオン電池の作製と充放電特性評価
    (EH20と共同実施)
    福塚研 本実験では、リチウムイオン電池に用いられる黒鉛負極電極を作製し、この電極を用いて実際にリチウムイオン電池を組み立て、充放電測定を行う。 Newmanモデルを用いた充放電シミュレーションと組み合わせ、電池の作製条件や充放電条件が電池性能に与える影響を検討する。
    EH18 透過型電子顕微鏡を用いた先端材料のナノスケール観察と解析
    (EH20と共同実施)
    五十嵐研 透過型電子顕微鏡法は光の代わりに電子波を用いることで物質内部の状態(原子配列、電磁場分布)をナノスケールで直接見ることができる高性能観測技術の一つである。本実験では、窒化ガリウムや二次元半導体などの透過型電子顕微鏡観察実験をする。また、画像シミュレーションを通してデータの解釈・解析を行う。
    EH20 GaN系電界効果トランジスターおよびSi-MOSダイオードの特性評価
    (EH7/EH8と共同実施)
    牧原研・ 須田研 今日のIoTやAIを利活用する高度情報化社会を根底から支えるSi大規模集積回路(ULSI)の発展は、その基本構成素子であるMOSFETの微細化による高性能化により進められてきた。本実験では、最先端トランジスターにおけるデバイス物理に関する知見を深めるための基礎として、最も基本的な構造であるプレナー型MOSFETの動作原理の理解と同時に各作製プロセスの一端に触れることを目的としている。