大実験
  • 複数テーマの内,選択した1テーマを秋学期を通して実施(全テーマ数は年度によって変更の可能性が有り).
  • 最新の大実験テーマについては,学生実験のNUCTや電気系の掲示板を確認してください.
  • 2024年度に実施予定の大実験テーマと概要は以下の通り(2024年9月20日時点).
  • 番号 テーマ名 実施研究室 テーマ概要
    EH1 超伝導デバイス 藤巻研 光子検出器は,量子暗号や量子情報通信,量子光学,生命科学など幅広 い分野で鍵を握るデバイスである。実験では,高感度,低雑音,高時間 分解能を特徴とする超伝導ナノワイヤ単一光子検出器(SNSPD)の素子作 製を行い,機械式冷凍機へ実装して特性評価を行うことで、超伝導/光 デバイスに関する物理や技術、評価手法等を学ぶ。検出原理や作製プロ セスを理解し,光学シミュレーションなどを頼りに性能向上に取り組む。
    EH2 DCマイクログリッドの
    構築と最適化
    (2024年度は休止)
    横水・
    岩田研
    データセンター内のDCグリッドを取り上げ,建物内のDCグリッドの潮流計算を行う。 このときのDCグリッドの受電端安定性に着目し,電力伝送において振動現象などの不安定性を起こさずに安全かつ 効率の良い電力伝送が可能なDCグリッドの構成について検討する。
    EH3 太陽光発電システム用
    簡易型MPPTの製作
    (2024年度は休止)
    大野(哲)研 太陽光発電では、雲の移動によって大きく変動する日射量を有効に電力へと変換するために、 電流-電圧特性において常に最大電力が得られる動作点へと制御する必要がある。 これをMPPT(Maximum Power Point Tracker、最大電力点追尾)制御と呼ぶ。 本テーマでは、簡易型MPPT回路の設計・製作を行い、実際の太陽電池モジュールと蓄電池を繋げてフィールド試験を実施する。
    EH4 高温超伝導体を用いた
    電力系統保護回路の構築
    (EH24とセットで実施予定)
    早川研 高温超伝導体は、従来の超伝導体より臨界温度が高く液体窒素冷却による安価な運用が可能であるため電力応用が期待されている。 その一つとして、電力系統故障時の過電流を抑制する機能を持つ超伝導限流器への応用が考えられている。 本テーマでは、超伝導限流器を対象に、臨界電流前後の電圧発生特性に着目して、応用を意識した実験を行う。
    EH5 エネルギーハーベスティング
    回路の構築
    栗本研究G エネルギーハーベスティングとは、環境中に存在する微小エネルギー(振動・電磁波・温度差など)を電気エネルギーに変換する技術で、環境発電とも呼ばれる。 この実験では、エネルギーハーベスティングの具体例として振動発電および熱電変換の文献を調査するとともに、 誘電エラストマーを用いた伸縮性コンデンサを実際に作成し、これを用いた発電回路を構築する。 グループ間で発電性能が上がるように工夫し、発電性能を競い合う。
    EH6 昇圧チョッパの制作とNゲージ
    模型鉄道の速度制御
    山本研 パワーエレクトロニクスとは,パワー半導体デバイス・受動素子を用いて電気回路を構成し 電気エネルギーを効率よく変換する技術である。パワーエレクトロニクスは電力インフラや 再生可能エネルギーはもちろんのこと、CO2排出抑制可能な移動体の「電動化」には 欠かすことができない技術分野である。本実験では移動体の「電動化」を経験すべく パワーコンバータを試作し N ゲージ模型鉄道に搭載されたモータのスピードを コントロールする実験を実施する。
    EH7 リチウムイオン電池の作製と
    充放電特性評価
    (EH8とセットで実施予定)
    福塚研 黒鉛電極を作製し、この電極を用いてリチウムイオン電池を組み立て、充放電測定を行う。 Newmanモデルを用いた充放電シミュレーションと組み合わせ、電池の作製条件や充放電条件が電池性能に与える影響を検討する。
    EH8 透過型電子顕微鏡を用いた
    先端材料のナノスケール
    観察と解析
    (EH7とセットで実施予定)
    五十嵐研 透過型電子顕微鏡法は光の代わりに電子波を用いることで物質内部の状態(原子配列、電磁場分布)を ナノスケールで直接見ることができる高性能観測技術の一つである。 本実験では、窒化ガリウムや二次元半導体などの透過型電子顕微鏡観察実験をする。 また、画像シミュレーションを通してデータの解釈・解析を行う。
    EH9 真空プラズマの生成と応用
    (EH10とセットで実施予定)
    豊田研 半導体デバイス製造によく用いられる「低圧力領域の低温プラズマ」の一つである容量結合型RFプラズマ装置の設計・製作・実験を通して、 低圧プラズマの基礎から応用までを理解することを目的とする。 具体的には (1)真空の基本的知識、(2) 高周波電力を効率よく利用するためのインピーダンス整合の原理、 (3) プラズマの生成・制御に関する基礎知識、(4) プラズマ計測、及び、 (5) プラズマ応用について、実験を通して学ぶ。
    EH10 大気圧プラズマの生成と応用
    (EH9とセットで実施予定)
    堀・石川研 プラズマの応用範囲は半導体デバイス製造のための微細加工やがん治療,食物の成長促進といった産業や医療,農業分野へと広がっている. 本実験では,大気圧プラズマ源および応用プロセスを提案・製作することで, プラズマ源の構造と生成されるプラズマの関係を理解し,プラズマの計測結果に基づく科学的根拠からプラズマ源を最適化する.
    EH11 超短パルスレーザーを用いた
    バイオイメージング
    西澤研 超短パルスレーザーを用いた先端光バイオイメージング技術の一つである光断層計測(OCT: Optical Coherence Tomography )システムの開発に取り組む。 OCTとは、光の干渉性を利用することでサンプル内部の断層構造を μm スケールの高分解能で高感度に計測する光学技術であり、 医療診断や工業製品の品質検査といった幅広い分野で利用されている。 本実験では、広帯域な波長成分をもつ近赤外光を用いた高分解能 OCT を構築し、開発した OCT の特性評価や、それを用いたイメージングの実験を行う。
    EH12 青色~紫外発光ダイオードの
    特性評価と応用システムの構築
    天野研 LED は、安価で環境にやさしい光源として世の中に広く普及してきた。 近年では照明やプロジェクター光源だけでなく、紫外光源としての開発が進み、 殺菌などへの応用が注目されてきている。 本テーマではLED の特性の基礎評価、評価結果から、LED というデバイスの基本的な特性について理解を進める。 そして、LED を用いたオリジナルの照射システム(例:殺菌機、距離計測機)の設計・作製とシステムの性能評価までを体験してもらう。
    EH13 カーボンナノチューブを
    用いたウエアラブルIoTデバイス
    大野(雄)研 様々なものがインターネットでつながるIoT社会の実現にむけて、 フレキシブルな電子デバイスは人間の肌に貼り付けて使用する電子皮膚や健康・医療デバイスなどの幅広い応用が期待されています。 この実験では、キャリア移動度、透明性、伸縮性や柔軟性など多くの点で優れているカーボンナノチューブを用いて、 透明で存在を感じさせずに生体情報をセンシングできるデバイスを作製し、ウエアラブルデバイスの最先端研究を体験します。
    EH14 テラヘルツIDタグ作製と
    測定システム開発
    川瀬研 テラヘルツ波とは電波と光の中間に位置する電磁波であり、 物質を透過して内部の情報を取得できることから封筒内禁止薬物検査はじめ様々な応用が期待されている。 本実験では、テラヘルツ波帯で動作するバーコードであるテラヘルツIDタグを各グループのアイディアで作製し、 最先端のTHz測定装置を用いて測定を行い、 機械学習による識別と組み合わせることで、実用的なタグ及び測定システム構築を目指す。
    EH15 実社会データセンシング・
    分析・可視化
    河口研 スマートフォンやIoTデバイスの普及で都市規模のデータ収集が可能になったことで, それらのデータを分析・活用した,住民や行政にメリットのあるサービスが求められている. 本実験では,スマートフォンの発するWi-Fiパケットから人の移動を推定する技術を中心に, データの取得・分析を通じて,課題の解決に挑戦する.
    EH16 人を支援するインタラクティブシステム構築 佐藤・
    小川研
    本実験では、人を支援するインタラクティブシステムを構築します。 インタラクティブシステムとは、人とシステムが対話や音声・画像情報のやり取りを通して、ある目的の達成を目指すもので、 例えば映画推薦や面接練習、人同士の会話をサポートするシステム等が挙げられます。 実験では2チームに分かれ、具体的にどんなシステムを作るか自由なアイデアで決めてもらい、 システム構築に必要な技術調査、設計、開発、評価に取り組みます。妙案を生み出し、既存技術を駆使して、 自分が作りたいと考えたシステムを形にする苦楽を経験しながら、システム開発技術の習得を目指します。
    EH17 ロボットビジョン 道木研 ロボットに視覚と頭脳を持たせると何ができるようになるだろうか? 本実験は、ロボットの視覚に相当するカメラと腕に相当するロボットアームを用い、 ロボットの頭脳を自らプログラムすることで、 様々なタスクを実行するロボットビジョンシステムを構築する。 まず、画像処理(視覚)、物体認識・行動決定(頭脳)、ロボット制御(腕)の基礎知識を習得する。 最終的に、自由な発想に基づいたロボットビジョンシステムを完成させる。
    EH18 機械学習を用いた
    通信システム設計
    長谷川研 現代社会を支える通信システムは,高度な信号処理技術により実現されている. 本実験では,機械学習を用いた最先端の信号処理アルゴリズムを計算機上に実装する. その後,新たな信号処理アルゴリズムを考案して,その性能を検証する. 成果発表会では,考案した信号処理アルゴリズムの性能を競う.
    EH19 イメージベースド
    モーションコントロール
    藤井研
    /片山研
    本実験では、カメラを備えるロボットカーの構築、ならびにカメラで獲得した画像から物体を認識する、 いわば画像工学的なアプローチでロボットカーをプログラミング制御してもらい、 実験の最後に開催するグループ対抗の競技に参加してもらう。 学生諸君には、勝利を目指して、ロボットカーの制御方法などに創意工夫を凝らしてもらいたい。
    EH21 スピントロニクス薄膜の
    作製と物性制御
    加藤(剛)研 スピントロニクスとはスピンとエレクトロニクスを合わせた言葉であり、電子スピンを利用した電子工学である。 代表的な現象の1つである巨大磁気抵抗(GMR: Giant Magneto-Resistance)効果は磁界センサや磁気メモリなどに応用されている。 本実験では、GMR効果が発現するナノメートルオーダーの人工積層膜をマグネトロンスパッタ法により作製し、 積層膜の電気磁気特性を調べ、応用に向けた検討を行う。
    EH22 宇宙電磁環境の計測と
    データ解析
    塩川研/
    三好研
    宇宙電磁環境を計測するため、GPSなど測位衛星からの電波を受信するGNSS受信機およびそのセンサーを使用する。 人工衛星電波を受信するGNSSセンサーから受信データを取り出し、その時系列を記録する装置を組み上げ、地球の電離圏における全電子数を計測する。 得られたデータについて相関解析やフーリエ解析を行い、 公開されている世界の電離圏全電子数の観測データと比較し、得られたデータの変動原因を考察する。
    EH24 積層高温超伝導線材を用いた
    磁気浮上実験と新しい磁気デバイスの開発
    (EH4とセットで実施予定)
    吉田研 永久磁石よりも大きな磁場を比較的安価かつ小型装置で発生させることができれば、新しい磁場応用(医療、製造、モーター等)を切り拓くことができる。 高温超伝導体の磁気的性質を利用した超伝導磁石や磁気レンズが期待されている。YBa2Cu3O7線材は臨界電流密度特性が高く、 高性能を有する超伝導磁石や磁気レンズの開発が期待される。 本実験では市販YBa2Cu3O7線材を用いて、超伝導の特異な磁気現象を理解・制御することを目指す。
    EH25 電力需給簡易シミュレータの構築
    (2024年度は休止)
    加藤(丈)研 電力の需給運用において、気象条件によって出力が大きく変動する再生可能エネルギー発電の導入が進むに従い、 その出力変動へ対応するための調整力を効率的に確保する重要性が高まる。本実験では、電力システムを俯瞰し、 再生可能エネルギーが大量に導入された将来の電力システムを対象として、簡易の需給シミュレータを作成する。