コンセプト

ないものはつくる

どんな環境でもすべてのものがそろっているわけではありません。特に、ナノスケールの領域を液中で観察する技術は、生体計測から触媒材料まで幅広いニーズがあります。現在では分析技術から開発して、物事を明らかにする研究者がめっきり減ってしまったようですが、このような先端研究において、従来の手法の延長では解明が困難な場合が多くあります。ここでギブアップするのではなく、計測技術や装置などハードウエアから、計測ソフト解析ソフトなどはそのニーズに合わせて作っていくことが、課題を越えるために必要であると強く感じています。その過程で、図面の作製(CAD),計測プログラムの開発(Labview),電子回路、PCBボードの作製(KiCAD)、 有限要素法(COMSOL)なども学ぶことができます。誰もが初めての経験のないことは戸惑いも多いですが、山登りと同じで登り続けることをあきらめなけらば必ずこれらのスキルを身に着けることができます。現在では応用研究ばかりが求められますが、大学らしくこれまで実現できなかったことを実現するためのツールをゼロから一所懸命開発しています。モノづくりをしてみたい人にお勧めです。

これまで開発してきた装置の一例)SECM,SICM,SECCM, SNOM, 光学顕微鏡, 共焦点顕微鏡、微小電流計測器、ポテンシオスタット、XYZ電動マニュピレータ、XY電動ステージ


走査型プローブ顕微鏡もつくる

高橋は、15年間プローブ顕微鏡の独自開発を行ってきました。これまで使ったことのなかったLabviewもゼロから学び、今では、FPGAのコードも作成しています。はじめたころは、私自身PCと装置がどのように通信を行って装置が制御されているか全く知らない素人でしたが、今では液中計測に特化した世界的にも稀な技術を開発しています。具体例として、生細胞の形状測定に特化したSICMや、細胞の代謝物の計測が可能なSECM,材料の触媒活性を評価可能なSECCMなど、これまで独自に開発を進めてきた装置に関しても、高分解能・高速な計測を実現するための開発を進めています。特に、微小電流計測器は、マイクロ・ナノスケールの電気化学計測に必須の要素であり、世界最速・最高感度の微小電流アンプの独自開発を進めています。自分で作った装置が思った通りに動き、綺麗なイメージが取れると行ったものしかわからない達成感を得られ、感動します。


自分で考えて解決まで導く

研究では、これまで誰も行ったことがないことに毎日挑戦していきます。はじめからうまくいくことはあまりありませんが、一人一人がその分野のパイオニアとなり、大学や企業との共同研究を通して、問題をみつけ、その解決方法を見つけ出し、研究を進めていくスキルを身に着けることができます。また、研究室の先輩が非常に丁寧にいろいろなことを教えてくれます。毎日ひとつでも新しいことに挑戦することを続けることがとても重要であると思います。

技術開発の背景

高橋は、SECMによるバイオセンシングのパイオニアである東北大学末永智一先生の研究室にて、SECMの技術を学びながら開発を行い、2009年3月に博士号を取得しました。その後、JSPSの海外特別研究員として、SICMのパイオニアであるYuri Korchev先生の下でSICMを学び、SECM-SICMの開発を行いました。2011年10月に帰国し、東北大学WPI-AIMRにて、SECCMの独自開発を始めました。ゼロからプログラム・ハードウェアの独自開発を行い、約3年間でSECCMを作り上げました。2015年10月に金沢大学・福間剛士先生の研究室に准教授として異動してからは、SICMの高速化や、SECCMによる触媒材料の評価、さらに、福間先生から独自開発を進められている超解像度AFMを教えていただいて実際に組みたてて、研究を進めています。また、現在は、単一細胞からオルガネラへの研究対象のスケールダウンを図っています。