研究概要

情報通信社会の発展に伴い,光ファイバネットワークを流通する通信の容量は指数関数的に上昇しています。このため,大容量光ファイバネットワークの構築が急務となっています。長谷川研究室では,次世代に必要とされる大容量光ファイバネットワークの実現に向けて,種々の課題に取り組んでいます。

光ネットワーク制御

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光ファイバネットワークでは,複数の異なる波長信号を一本の光ファイバ内に集約して伝送する波長分割多重技術により,経済性に優れた通信システムを提供しています.しかし,光ファイバ通信で使用可能な周波数帯域は逼迫しているため,大容量化のためには限られた周波数帯域の有効利用が不可欠です.波長分割多重信号を周波数軸上で高密度に収容することにより大容量化を実現することができますが,代償として光信号の経路制御の際に周波数軸において隣接する信号の品質を低下させます.また,光信号の経路制御を光のまま行う光ファイバネットワークでは,送信器から受信器まで同一の波長を用いなければなりません.すなわち光ファイバネットワークの伝送能力を最大化するためには,周波数領域において隣接する光信号の影響と空間領域において連続するリンクの利用状況を考慮する,ネットワーク全体を俯瞰した制御が必要です.我々は,光ファイバネットワーク特有の制約を考慮した制御アルゴリズムを考案することで,大容量光ネットワークの実現を目指しています.近年では,機械学習による制御方式を考案し,その検証を進めています.

光ルーティング装置

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光ファイバネットワークにおいて情報を高速かつ確実に伝送するためには,光信号の経路を制御する光ルーティング装置が必要不可欠です.光ファイバ上を伝送する光信号を電気信号へと変換することなく全て光領域で処理することで,大量の通信を低消費電力でスイッチングすることが可能になります.我々は2017年に全く新しい構成に基づく光ノードを提案し,光伝送実験によりその有効性を確認しました.得られた結果は,世界最大規模の光通信の国際会議にて最高得点論文賞を受賞しました.更に2019年には総スループット2.1Pbpsの光スイッチング装置を提案・実証しました.この光スイッチング装置が持つスループット2.1Pbpsは現在世界一の記録であり,4K放送を同時に6,000万人に配信できるほどの容量です.

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光ファイバネットワークにおいて情報を高速かつ確実に伝送するためには,光信号の経路を制御する光ルーティング装置が必要不可欠です.光ファイバ上を伝送する光信号を電気信号へと変換することなく全て光領域で処理することで,大量の通信を低消費電力でスイッチングすることが可能になります.我々は2017年に全く新しい構成に基づく光ノードを提案し,光伝送実験によりその有効性を確認しました.得られた結果は,世界最大規模の光通信の国際会議にて最高得点論文賞を受賞しました.更に2019年には総スループット2.1Pbpsの光スイッチング装置を提案・実証しました.この光スイッチング装置が持つスループット2.1Pbpsは現在世界一の記録であり,4K放送を同時に6,000万人に配信できるほどの容量です.

光送受信器

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送受信器内において実行されるディジタル信号処理は,既定の通信品質を得るために必要不可欠な技術です。レーザの位相不安定性,レーザの周波数不安定性,光素子の非理想特性,電気素子の非理想特性,光ファイバ伝送による波形劣化など,通信システムで生じるあらゆる信号品質劣化要因に対処することが求められます。我々が提案した信号再生ディジタル信号処理アルゴリズムは,極めて高品質な信号を得ることを可能としています。2017年には本技術を用いることで,10Pbpsという光ファイバ容量の世界記録が樹立され,この記録は2019年現在まで破られていません。

光リンク

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光ファイバは極めて低損失な通信媒体であり,その透過率は澄み渡った空気にも優るといわれています。この低損失性ゆえに,長距離通信システムのほぼ全てが光ファイバによって構築されています。一方で,長距離通信システムでは,光波と伝送媒質との相互作用長が長いことから,非線形光学効果が顕著に現れることが知られています。非線形光学媒質に光波を入射すると分極が誘発され,光波の伝搬速度が入射強度に依存するようになってしまいます。その結果,光信号波形に歪みが生じ,通信容量および通信距離が制限されてしまうのです。我々は,光ファイバ内における光の物理現象を理解し,システムの通信容量および通信距離の限界を明らかにしようとしています。このような伝送特性解析は,効率の良いネットワーク制御を行うために必要不可欠です。

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光ファイバは極めて低損失な通信媒体であり,その透過率は澄み渡った空気にも優るといわれています。この低損失性ゆえに,長距離通信システムのほぼ全てが光ファイバによって構築されています。一方で,長距離通信システムでは,光波と伝送媒質との相互作用長が長いことから,非線形光学効果が顕著に現れることが知られています。非線形光学媒質に光波を入射すると分極が誘発され,光波の伝搬速度が入射強度に依存するようになってしまいます。その結果,光信号波形に歪みが生じ,通信容量および通信距離が制限されてしまうのです。我々は,光ファイバ内における光の物理現象を理解し,システムの通信容量および通信距離の限界を明らかにしようとしています。このような伝送特性解析は,効率の良いネットワーク制御を行うために必要不可欠です。