スピン軌道トルク(Spin Orbit Torque: SOT)磁化反転やスピン移行トルク磁化反転(Spin Transfer Torque: STT)は伝導電子のもつスピン角運動量と磁化との相互作用を利用し,電流により磁化反転を行う方式です.図1のようにSTT磁化反転はスピン偏極した電流を磁性膜に注入することでスピン偏極電流の角運動量が磁化に移行し,磁化反転を行います.一方,SOT磁化反転は重金属などに電流を流すことにより,電流と垂直方向に発生するスピン流を用いて磁化反転を行います.STT,SOT磁化反転とも高密度MRAMの磁化反転技術として応用するため,その高効率化が追求されています.SOTはSTTと同程度以下の消費電力で10倍程度高速に磁化反転できることや,書き込み時に磁性層に直接電流を流さないため,書き込みと読み出しの際の電流経路の分離が可能などの利点があると考えられています. |
図1 スピン移行トルク(STT)磁化反転とスピン軌道トルク(SOT)磁化反転の模式図
図2 GdFeCo(5 nm)のスピン軌道トルク磁化反転 |