原子間力顕微鏡 (SPI3800Ne, SIIナノテクノロジー社)

原子間力顕微鏡外観。


試料設置およびカンチレバー部。
この装置では、エピタキシャル成長した薄膜表面の構造を原子レベルで観察することが 可能である。

原子間力顕微鏡 (Atomic Force Microscope, AFM)の観察原理は次の通りである。
カンチレバー (てこ)の先端に非常に細い針をつけ、その針を試料表面に近づけると 針と試料表面との間に原子間力が働き、カンチレバーがたわむ。 このたわみを測定することで、試料表面の凹凸をナノメートルレベルで測定 することが出来る。

また、針やカンチレバーユニットの交換によって、様々な測定モードに切り替える ことができる。例えば、カンチレバーを振動させ、表面との原子間力で生じた 振幅や位相の変化を検知するDynamic Force Microscope (DFM)モードや、 磁性を持つ針を使用することで磁化分布を測定するMagnetic Force Microscope (MFM) モードなどがある。

理想的には、薄膜の表面は結晶成長の途中段階を凍結した状態と考えられることから、 薄膜表面の形状を詳細に観察することで、薄膜成長時における過飽和度や不純物などの 成長環境を知ることができる。 薄膜成長環境は、薄膜結晶の成長方位だけでなく、表界面における特異な物理現象に 密接に関係している。そのため、表面観察を通して成長環境を把握し、 薄膜の作製プロセスに反映させることが重要となる。


スペック
・走査エリア: 100 nm~20 μm□
・測定可能形状: 1 μm以下の凹凸
・測定雰囲気、温度: 大気、室温
・DFMモード周波数レンジ: 90~170 kHz
・測定可能モード: AFM、DFM (タッピングAFM)、MFMなど



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