高井吉明教授



教授 高井吉明


高井教授から一言

「超伝導」と言う用語は、新聞やテレビなどのメディアでよく聞く言葉です。その内容 も現象的には単純、明快で、直流電気抵抗がゼロである(完全導電性)とか、同じ 極性の磁石同志が反発し合うように、磁石の上に高温超伝導体が浮き上がる(完全反 磁性)など、しばしば目にする様子が超伝導の特徴を表しています。然し、このよう な現象は、室温では現れず、現在およそ、マイナス150℃以下の低温においてのみ 発現します。このような現象をうまく利用することによって、現在の人類社会の大き な問題であるエネルギー消費を解決する事が期待され、いくつかの未来技術の一つと して超伝導技術がとりあげられています。現在、電力を送る送電線では、発電所から 消費地まで届く間に、約300W/(km.MVA)という損失があり、これを超伝導化する事に よって、方式によって異なるけれども、2/3から1/3に出来ます。また、超伝導ヶーブ ルだけではなく、変圧器、発電機、電動機なども超伝導することにより、省エネルギー 化が進み、地球の温暖化の一因として考えられている、炭酸ガスの排出量も押さえる ことが出来ます。一方、超伝導特有の特性を利用した、電力貯蔵、超強力マグネット、 磁気浮上列車などへの応用は、新しい技術によって社会全体に大きく貢献することが 期待されています。一方、コンピュータの普及により、ますます大量の情報を高速に 処理することが望まれていますが、超伝導技術はこの分野でも大いに期待されていま す。現在のエレクトロニクスの基本的デバイスである半導体集積回路と同様な回路を、 超伝導体を使って作ることも出来ます。しかもそのスイッチング時間はピコ秒程度で 極めて短く、またエネルギー消費もこれまた少ないという特徴を持っています。また、 超伝導体特有の磁束グデバイスは、将来のエレクトロニクスデバイスとして期待され ています。さらに、前に述べた完全導電性、完全反磁性の二つの性質の他に、超伝導 体で出来たリングの中には磁束(磁力線の束)が飛び飛びの本数しか入れないという ディジタル的な性質を持っています。この性質を利用して、非常に高感度な磁界のセ ンサが作られ、脳や心臓などの検査のための医学的機器とか、素材の不良個所を調べ る高感度な非破壊的検査装置などに応用されています。

 以上のように、超伝導技術は次の世代における新しい技術として、その基礎的な研究 や応用開発に向けた検討がなされています。このような技術開発には超伝導体材料技 術の確立は必須であり、新しい超伝導体の探索も含めてそのための研究が望まれてい ます。当研究室では主としてこのような材料的見地から超伝導に関する研究を行って います。

 一方、近年、酸化物セラミックスは超伝導だけではなく、様々な分野で活躍を始め ています。その一つに、熱電変換デバイスがあります。これまで、無駄に捨てていた、 廃熱を効率よく改修し、有効に利用しようとするものです。従来は、これもやはり金 属・合金系で構成されていましたが、より高温での動作が可能となる、酸化物セラミッ クスが研究され始めました。本研究室では、化学構造的には、酸化物超伝導体とよく 似た構造をしていることもあり、これまで、蓄積されてきた薄膜技術を駆使して、よ り高効率な熱電変換デバイスを作成する研究も行っています。


学生から一言; 高井教授とは・・・

高井研の責任者。「もっと良く考えろ。」が口癖。愛車BMWをドライビンググローブ をはめて運転する、エネルギー理工学専攻の中でなかなかダンディな先生。学生が、 実験もせずにあまりに遊んでばっかりいると、時々お怒りになる。もともとは高分子 電気絶縁物の研究をしていたとか、なぜか今は正反対の超伝導の研究をしている。
電子工学専攻の教授でもある。





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