Nd:YAGレーザー (LS-2147, LOTIS TII社)



Nd:YAGレーザー発振装置外観。
本研究室では、エキシマレーザーの他に固体レーザーも用いて、 パルスレーザー蒸着(PLD)法による機能性エピタキシャル薄膜の成長を行っている。

Nd:YAGレーザーはKrFエキシマレーザーと異なり、YAG結晶(固体)を励起させて レーザーを発振させる固体レーザーであり、集光性が高い、装置が小型、ランニング コストが安価、などの利点を持つが、作製した薄膜の表面にサブミクロンサイズの 滴状付着物が生じやすいなどの問題点も持つ。

レーザーの発生原理は以下の通りである。
Nd:YAG結晶は、YAG(Y3Al5O12)結晶中のYを一部 Ndに置換した結晶である。この結晶にフラッシュランプやレーザーダイオードなどを 用いて外部エネルギーを与えることで、結晶内の電子が励起され、反転分布状態となる。 ある一つの励起電子が基底状態に遷移する際に放出する光(1064 nm)がトリガーとなって 他の励起電子を基底状態に遷移させるため(誘導放出)、放出光の位相がそろった レーザー(基本波、波長1064 nm)が得られる。

この基本波をKTP(KTiOPO4)結晶に通すことによって2倍波(波長 532 nm) が得られ、さらに2倍波をKDP(KH2PO4)結晶に通すことで、 4倍波(波長 266 nm)が得られる。

本研究室では、主に4倍波を用いて酸化物エピタキシャル薄膜の作製を行っているが、 2008年に発見された新超伝導体であるFeニクタイド超伝導体のエピタキシャル薄膜は 2倍波を用いて成長させている。

スペック
・励起結晶: Nd:YAG結晶
・励起方式:フラッシュランプ
・波長: 1064 nm(基本波)、532 nm(2倍波)、266 nm (4倍波)
    (結晶の切り替えで選択可能)
・最大出力: 650 mJ/pulse @ 1064 nm
・最大繰り返し周波数: 10 Hz
・レーザーパルス幅: 数十 nsec



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