CSTN-IV誕生

1998年8月上旬、CSTN-III が CSTN-IV に生まれ変わりました。放電時間を延長するため磁束密度の大きな鉄心に交換し、High-Duty (〜60%) 運転及びロングパルス放電 (〜10 ms) が可能となりました。

CSTN-III 改め CSTN-IV. ぴかぴかの鉄心に入れ替わりました。

性能評価

CSTN-IV の基本波形です。鉄心のボルトセカンド(飽和磁束)を上げることで、プラズマ電流のフラットトップを最大 22ms まで延長することに成功しました(図では 14ms 放電)。す、すばらしい!!

小型トカマク装置CSTN-ACにおける完全交流運転に関する研究

1. 研究の背景と意義

将来の核融合炉として最も研究が進んでいるのはトカマク型装置です。核融合反応を起こすためにはプラズマをある程度の時間放電を維持し続けなければなりません。しかし、トカマク型装置は誘導駆動のため原理上長時間放電は困難です。そこで現行のトカマク型装置では、中性粒子ビーム入射や、波動などの様々な装置を使い放電を維持しようと試みられていますが、これらの装置類の電力等は無視できないほど大きなものとなります。しかし、交流運転では、これらの装置類を一切必要とせずにプラズマの準定常放電を実現することが可能となります。つまり、交流運転はトカマク型装置における長時間放電の1つの解であり、今後の研究において新たな展開が期待されます。

2. 研究状況

本研究室の小型トカマク型装置CSTN-ACでは世界で初めて60秒間の完全交流運転を実現しました。図はCSTN-ACにおける交流運転例です。現在は長時間運転時における真空容器壁温の上昇等の問題で、研究は中断しています。しかし、CSTN-ACにおける完全交流運転は世界でも他に例が無く、大きな研究成果であると考えられます。

HYBTOK-IIトカマクにおける電極バイアス時のプラズマの動的挙動の解明

リミターや局所電極へのバイアス電圧印加によって電場が変化する事がわかっています。その電場によって磁場を横切る方向の粒子の輸送を制御することにより、閉じ込め特性が改善可能であることを示してきました。これは、バイアス印加に伴う局所的な径方向電流とトロイダル磁場によるローレンツ力がプラズマをポロイダル方向に回転させることによりシアーフローを形成し、結果として閉じ込め特性が向上していると考えられます。そこで、閉じ込め特性とプラズマ回転のバイアスによる変化を瞬時測定可能なプローブにより実際に計測することによりそれらの動的挙動を解明し、プラズマ粒子の過渡的な輸送の変化を明らかにすることを目的としています。

図1はプラズマ中に挿入した局所電極に交流バイアスを印加した時のプラズマ回転変化の径方向分布を示しています。周辺部に急激な回転速度の違い(シアーフロー)が確認できます。

動的エルゴディックダイバータに関する基礎研究

現在進行中の国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画ではダイバータ配位のトカマク装置が採用され核融合炉の実現に向けて研究が進められていますが、長時間核燃焼時におけるダイバータ板への熱・粒子束はそれぞれ数10MW/s, 〜1024個/s にも及ぶと予想され、この熱・粒子束によるダイバータ板の損耗は深刻な問題となっています。また、長時間燃焼の実現には更なるプラズマ閉じ込めの改善が望まれます。

Feneberg 等によって提案された Ergodic Magnetic Limiter (EML) は周辺プラズマ中に統計的磁力線構造を形成し、そこでの粒子輸送を増大させてコアプラズマからの熱負荷を壁全体で処理しようとするものですが、高温輝点の発生・周辺部の電子温度低下による閉じ込めの劣化等が指摘されています。これに対して TEXTOR のグループを中心に提案された動的エルゴディックダイバータ (Dynamic Ergodic Divertor) は、周辺プラズマに生成された統計的な磁力線構造をポロイダル方向に回転させるというもので、その回転周波数に応じて次のような効果が期待されています。

回転周波数期待される効果
50Hz 以下高温輝点の smearing out による熱負荷の均一化
1kHzリサイクリング粒子が周辺プラズマを横切る時間と摂動磁場の回転周期が同程度となる。図1に示すようなベントリミタとの組み合わせにより、リサイクリング粒子の排気が可能となる。
10kHz摂動磁場の回転速度はプラズマの反磁性回転速度と同程度となる。その結果図1に示すようなプラズマのシアフローが誘起され、これによる閉じ込めの改善が期待される。

ダイバータ板における粒子反射を利用した能動的ヘリウム灰排出法の研究

現在進められているD-T核融合反応ではHeと中性子が生成されます。 この反応によって生成されるHe粒子は3.5MeVという高いエネルギーをもっており、プラズマにエネルギーを与えることで核融合燃焼が持続されます。しかしプラズマにエネルギーを与えた後のHe粒子はD-T燃焼の燃えかすであるところからHe灰と呼ばれ、プラズマ中の燃料イオン密度を希釈させ核融合出力を低下させる等の悪影響を及ぼします。そのために、炉心プラズマ外へのヘリウム灰の積極的な排出が重要な課題として挙げられます。

本研究では選択的にHe灰排出を行う新しい手法としてダイバータ板における粒子反射を利用した選択的He灰排出法の提案をしました。図1に本研究で提案する排出モデルを示します。

具体的には、ダイバータバイアスによるイオンのダイバータ板への入射エネルギー制御と、ダイバータ構造の工夫によって、ダイバータ板で反射したHe中性粒子の電離平均自由行程をSOLの厚みより長く、また、反射した水素中性粒子の電離平均自由行程をSOLの厚みより短くなるようにします。本研究ではこのHe灰選択排出法についてモンテカルロシミュレーションを行ないました。詳細は J. Nucl. Mater. 220-222 (1995) 1001-1004 にまとめてあります。

この論文はPDF形式で公開しております。興味のある方はご覧ください。
(PDF) Monte Carlo simulation on active helium-ash exhaust by divertor biasing

回転ヘリカル磁場とトカマク磁場とのアルフヴェン共鳴

回転ヘリカル磁場とトカマク磁場とのアルフヴェン共鳴(電気学会東海支部連合大会予稿, 2000.9, PDF 168KB)

トカマクプラズマ中への回転ヘリカル摂動磁場の浸透に関する基礎研究

IGBTインバータ電源を用いたトカマク放電の高性能化と等価回路を用いた評価